逃亡日記⑦

思い返せばぼくはとても学校を楽しんでいた。知識や技術はなくとも、笑顔で一生懸命やっていたためクラスの中心的存在だった。

技術や知識も学習意欲からどんどんモノにしたし、何時でも向上心を持って取り組んでた。

それだけ好きだったのは自転車。でもなぜ好きなのか今一つわからず、知りたいと思う気持ちが一生懸命学ぶ原動力になったのだろう。

だが、学ぶことに疲れ、人付き合いに疲れ、何もかもから逃げ出したくなった先にぼくを待っているのは自転車。

乗ればそれだけで、全部忘れられる。

悩んでても、走行中は集中しないと危険が多いしそういう意味で嫌なことは何も考えず、目標を立てて走れば何かに悩む自分が馬鹿馬鹿しくなってくる。

もう答えは見えた。これ以上学ぶ理由ももうない。誰かと走るとかではなく、独りで身の回りの全てから逃げるようにぼくは自転車に乗る。それがぼくにとって1番の自転車との向き合い方だって、気づいたから。